カイゼンジャーニーを読んだ


カイゼン・ジャーニー
たった1人からはじめて、「越境」するチームをつくるまで

物語仕立てで開発のやり方をカイゼンしていく方法について語ると言う内容で、面白い本だった。

読む人ごとに汲み取る内容が色々と違ってくる本ではないかと。
同じ人間が二度読んでも、経験を積んでから読むとまた違うだろう

いずれにしろ開発者なら何かしら得心することがあるのではなかろうか。おすすめ。

感想にかこつけて言いたいことを言ってみよう。

一人で始める

一人で始められることと言うのはけっこうある。
ソロ朝会から振り返りやタスクの見える化などなど。

これだけのことをやるだけでも割と違ってくる。拠り所ができるというか。
自分も最初は一人で始めていたので、懐かしく読んだ。

しかしやっぱり一人だと油断するとおろそかになってくるので、気がつくたびにネジを巻き直していかねばならない困難は今も変わらない。
そう言う意味で二人目の存在は大きい。火を消さずに進んでいくために。

チームで強くなる

個人的にスクラムは馴染みがないのでプラクティスの詳細に関しては見返して、できれば実際に試して把握したいところだが、お話しとしてはそのあたり曖昧でも問題なく楽しめる。
これは逆に読めた気になってしまうので危険かもしれないが。

ストーリーの中で様々な問題が起こりつつも解決していく様はちょっと都合良くも見えてしまうけれど、これがノベルゲーだったらバッドエンド、デッドエンドなどたくさんのマルチエンディングが用意されているに違いない。
実際の開発でハッピーエンドは容易ではない。ものはできてもビターエンドとかよくあるし。

また作中ではインセプションデッキ、ドラッカー風エクササイズなどの洗練された方法で行っているが、現在の状況を知ることと、各メンバーへの期待を明らかにすることは特に重要に思える。
現状把握は改めて言わなくても当たり前かもしれないが、各々の期待値の摺り合わせに関してはおろそかにされがちなので、気をつけていきたいところだ。

あとは個人の経験に照らして思うことだが、最初が肝心。
このお話しではリーダーが江島君と決まっていて、スクラムでやっていくと言うことも決まっている。これだけでもスタートとしては上等と言える。

開発の考え方や進め方などの基本スタンス、期待の摺り合わせやこれから何を作っていくのかといった大事なことは最初に十分に話し合って決めておかないと、なかなか開発が進み始めた後ではリカバリーしにくい。
そしてこれらも定期的に見直していくということも表明しておいた方が、後々スムーズに事が進むだろう。

みんなを巻き込む

冒頭、由比さんのように経験豊かな人が既存のチームに入ってきたときの摩擦はあるあるだなあと思いつつ読んだ。
自分のやり方を押してくる人もいれば、逆に様子見モードでパフォーマンスを発揮しない人もいたりとか。

「自分に期待することは何ですか?」という問いは、開発に参加する際にはやはり最初に投げておきたい。
お互いの期待を明らかにした上で、心理的安全もセットでいただければ申し分なくやりやすい仕事場になる。

デザイナーとの協調も最近思うところがあったので興味深かった。
ちょっとこれはまた別の機会に書きたい。

顧客vs開発チームや営業vs開発者という構図もありがちなトピックス。
関係者が一丸となって見ている方向が同じなら基本は起こらないはずだが、残念ながら多くの場合そうではないので。

このストーリーがそうした軋轢を越えて大団円を迎えられたのは、作中の登場人物がみな問題に向き合う姿勢と熱意を持っていたが故かな。
そこまで巻き込むサイクルを繰り返して回し続けたことが結実したと言うことなんだろう。

しかしまあ最近あまり美しくないケースをよく見てるんで割とファンタジーに見えるくらいには心が荒んでる。ハハハ。
ちょっと働き方を考えたい今日この頃であります。

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