読了『みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史』

最近話題の本を読んでみた。日経コンピュータの既存の記事をまとめた本で、まあ悪くはないけど期待してたものとはやや違った。
良くまとまってはいるが主に外からの分析であんまり内部から絞り出てきたような内容ではなく。

まあさすがにまだ面白いぶっちゃけ話とかが出てくる時期ではないか。
成功裏に終わったことだから関係者の声がきれいにまとめられている感もあり。

みずほのシステム統合に関して俯瞰したい場合には最適な本かもしれない。単純な読み物としてはちょっと物足りないかな。
ちなみに時間がない人は「はじめに」と「おわりに」だけ読んでもかなり内容分かると思う。この要約には好感が持てる。

とは言え興味深い箇所もいくつかはあった

日本の経営者のITへの無理解、不勉強はよく言われていることだと思うが、それゆえに適切な開発リソースを適切なタイミングで投入できなかったことを経営の責任と断じている(著者だけでなく金融庁も)のはちょっと胸のすく指摘だった。

それと「過去の苦い経験から、要件定義においてユーザー部門が『今のままで良い』『アズイズでよろしく頼む』との態度をとるのが最悪だと学んだ。」
ということで『AS IS』の要件定義を全面禁止したと言うのは面白かった。
ユーザー部門に要件定義を体験させて、既存の業務フローでは行き詰ることを理解させたりとかしたらしい。

二部三部で書かれている合併後の主導権争いの泥仕合とかは最近身近でも覚えがあるようなないような。まあもちろんぐっと規模は小さいけれども。人と政治の問題はやっかい。

しかし富士通とか開発会社としては評判良くないけど銀行担当となるとやっぱり下請けまで含めて精鋭を投入するのかなあ。